E52型のエルグランドは、スポーツカーや輸入車など走りの良いクルマを愛する人にも意外と受け入れられる稀有なミニバンであるという説を提唱します。
ミニバン市場だけで見るとアル・ヴェルに圧倒的大差をつけられ、下のクラスのセレナよりスペース効率が悪いなどあって不人気車種と位置づけられています。
しかしながら、クルマの本質である「走り」を見ると、クルマ好きも納得する点がいくつかある希少なミニバンであることが見えてきました。
そもそもE52型エルグランドとはどんなクルマなのか?
エルグランドは、日産自動車が販売するミニバンタイプの乗用車です。
同社のミニバンでは他にセレナという人気車種がありますが、中型サイズであるセレナに対してエルグランドは大型ミニバンにカテゴライズされます。
競合ではトヨタのアルファード・ヴェルファイア兄弟がいますね。
実用性・経済性を追求した中型サイズミニバンに対して、ラグジュアリー性や走行性能をある程度追求した大型サイズ、といった棲み分けでしょうか。
エルグランド、アルヴェルともに豪華な内装や高性能なエンジンが選べたりと、付加価値の大きいクラスです。
E52型エルグランドがクルマ好きに刺さるであろう理由 5選
クルマはクーペかセダンが至上、ミニバンやSUVは絶許といった思想を持つ筆者ですが、ついにスライドドアを持つクルマへの乗り換えが不可避になってまいりました…。
そこで調べていくと、E52エルグランドが意外と良いなあと感じる要素が詰め込まれていることに気付きましたので、その要素5つを紹介します。
リアサスペンションがマルチリンク式である
日産のマルチリンクサス。
ここが最大の強みでありユニークな点かと思います。
基本的にミニバンの場合はトーションビーム(車軸懸架)式を採用することが多いです。
トーションビーム式とはサスペンションの形式のひとつです。
※詳細な構造の説明は、それだけでひと記事分のボリュームが必要になりますのでここでは割愛します。
主にFF(前輪駆動)のクルマのリアサスペンションとして採用されることが多いレイアウトで、最大のメリットはシンプルな構造ゆえ低コストなことです。
その特性ゆえにコンパクトカーなど、低コストであることが求められるクルマには多く採用されています。
ちなみに、競合とされるアルファード・ヴェルファイアも20型といわれる世代ではトーションビームを採用していました。
しかしながら、構造上左右のタイヤの衝撃が相互に伝わってしまったり、タイヤの動きがある程度制限されてしまい路面の追随性が今ひとつで、走りを追求する上でデメリットとなることもあります。
対してマルチリンクという形式のサスペンションは、それぞれの車輪単位で複数の構造物によりタイヤを支える構造になっていて、乗り心地やタイヤの接地性向上による走行性能が高まるという特性があります。
ゆえに高級車や高性能なクルマに採用される傾向にあり、日産ではGT-RやフェアレディZなど、走行性能を求められる車種にインストールされてきました。
だからこそ、ミニバンとてリアサスペンションにマルチリンクを奢るあたり、走りの日産らしさが存分に発揮されたクルマであると言えます。
ちなみにデメリットとしては、構造が複雑になるためにコスト高になりがちな点や、サスペンション関連部品を搭載されるスペースを広く確保する必要がある=室内空間が犠牲になる点などが挙げられます。
低重心パッケージである
マーケットでは不評な室内空間の狭さも、低重心パッケージゆえの弊害でしょう。
恐らく日産は走りで差別化を図りたかったのかも。
参考までに、現行アルファードとサイズを比較してみます。
- アルファード:全長4,950mm × 全幅1,850mm × 全高1,935mm
- エルグランド:全長4,945mm × 全幅1,850mm × 全高1,815mm
全長・全幅はほぼ一緒ですが、全高がエルグランドのほうが10センチも低いです。
低重心であることは、カーブや強風時などでもフラつきにくいことに繋がります。
この点、車高も重心も高いミニバンでは諦めざるを得ない要素なのかもしれません。
しかしながら、エルグランドではまるでセダンのような…と形容される安定感を持っているようです。
ミニバン嫌いのクルマ好きにとって、この腰高さゆえの安定性のなさがどうしても受け入れられない要素の最右翼でしょうか。
この点、エルグランドならば多少払拭できる可能性があります。
低さで競合するとなると、ホンダ オデッセイあたりが挙がりますが、リアサスが例によってトーションビームだったり、世代によってはスライドドアではなかったりでちょっと残念…。
ミニバンと言うより、スライドドアに嫌悪感を抱く方にはちょうどいい車種かもしれませんね。
ちなみに、低重心化の弊害かトランクルームは結構狭いですねw
多くのミニバンのようにリアシートが跳ね上げ式では無いこともあって、ボディサイズの割には積載性が良くないです。
とはいえ、筆者のようなクーペやセダンに慣れた身には月とスッポンなんですがね。
3.5リッターV6エンジンが選択できる
E52エルグランドが搭載するエンジンは以下の2種です。
- QR25DE:2.5リッター 直列4気筒
- VQ35DE:3.5リッター V型6気筒
QR25DEこそ直4の汎用的なエンジンと言えますが、何といってもVQ35DEが選べることはクルマ好きにとって魅力になるでしょう。
VQ35DEはZ33フェアレディZやV35スカイラインといったスポーティカーから、フーガといった高級車まで採用されている本格派のエンジンです。
大排気量NA(自然吸気)という、今や貴重な特徴を持ったエンジンを低重心なミニバンで楽しめるのはエルグランドが唯一です。
ただ維持費面ではかなりネックですよね…。
前期モデルは年式によっては製造から13年を超過していますので、自動車税がなんと66,700円!
外見がそこまでギラついていない
主観になりますが、エルグランドの外観は相対的に上品に仕上がっていると感じます。
というか、トヨタ系の最近のミニバンがオラつき過ぎ説。
ギラギラメッキにドデカグリル、キツめのライトなど、どうもガラが悪く感じてしまいます。
生活感丸出し・実用一点張りではなく、クルマとしての個性がある
クルマ好きの筆者としては、クルマは個性があって愛着を持てるものが理想です。
今までも気持ちいい走りや上品な内装などの個性があって、乗って眺めて楽しめるクルマを選んで所有してきました。
週1で手洗い洗車もして可愛がっています。
愛着を持って手塩にかける事によって、間接的には事故回避につながったりすると考えます。
なぜなら、愛着のあるものってぶつけたり壊したくないですよね?
愛する家族やペットなども同じ。
怪我や事故に合わないように最新の注意を払い、同時に愛情も注いでいるはずです。
この点、実用一点張りでクルマとしての個性が薄い車種は、どうも愛着を持てない気がしているのです。
具体的には、セレナやノアヴォクなどのミドルサイズミニバン。
乗ったことがある方はわかると思いますが、あくまで道具として特化していてクルマとしての本質的な楽しみからは遠くかけ離れたクルマであると感じます。
自分の感情を無視して、割り切って道具として使い倒すという選択肢も一時は考えました。
しかし、クルマが趣味の一つである筆者にとっては、そうなったとしたら死んだも同然。
そう考えると、エルグランドならば高品質で高級感のある内装があり、走りも悪くない、足回りもちゃんと作り込まれている…。
クルマ好きとしての矜持が意外と保たれる選択だな、と結論付けました。
結論:E52エルグランドは案外クルマ好きにも受け入れられるだろう
個人的に、全然悪くはない選択だと感じました。
仮に所有したとしても、今まで通りとはいかないまでも愛着を持って所有できそうです。
ちなみにAUTOCAR JAPANで興味深い記事を発見しました。
(エルグランドについて)
また、ライバルと目されるアルファード(および兄弟車のヴェルファイア)と比較検討しているユーザーは意外なほど少ないというのが、予想と異なる点だった。ではどんな車種に乗っているユーザーが多いのかというと、なんと輸入車。それもBMWやアウディといったドイツ車ユーザーが多いというのである。
なんだ。同じような考えを持っている人結構居るじゃんw
ならこのまま乗り換えても大丈夫そうですね―。
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